ショックだが、不動産業は危ない?
堀江貴文&落合陽一 時代の寵児といえる両氏の共著「10年後のお仕事図鑑」
心配症の人は眠れなくなるかもしれないが、今あるお仕事をばっさばっさと切り捨てるという痛快な書籍。
10年後に無くなる仕事なんて山のようにある。というか、今ある仕事で人間を必要とする仕事の方が少なくなるくらいの勢い。
そのひとつに、不動産仲介業があった。
今の不動産仲介業の流れは、ごく簡単に説明するとこうだ。(もう少し丁寧な説明は→不動産売却手続きの流れ から)
例えば、自宅(土地建物)を売るとする。
ネット(または直接)不動産業者数社に「我が家はいくらでうれるんでしょうね?」と聞く→高く売ってくれそうな(または信頼のおけそうな)業者を選ぶ→「売って下さい・売りましょう」という契約(媒介契約といいます)を交わす→業者がさまざまな手段で広告活動を行う→買うかもしれない人を案内する→買う意思表示をもらったら契約書(業者が作成)を交す(ローンの審査がある場合も)→売主は片付けて引っ越して買主からお金をもらって登記をして、業者に報酬を支払えば終わり。
業者の仕事は、物件調査・広告活動・案内と営業・書面の作成・登記の手配・引渡し時の物件確認・立会い等がメイン。
仲介業者の仕事は代替できるか
今もネットオークションがある。
だが、まだまだ業者が間に入ってというのが一般的。では、どうしてなくなるか(以下は私の私見)
オークションでなくとも、以下の問題をクリアできるメルカリ的不動産出品サイトがあれば、直接取引が可能となるかもしれない。
●物件調査
→不動産業者が行うレベルの調査をし、情報公開する(調査は宅建士等の資格のある人)
●価格決定
→サイト内の査定ソフトを参考に売主が決める(買主もそのデータを元に価格交渉ができる)
●建物の不具合のリスク
→建物検査(インスペクション)を義務化する
●周辺環境についての情報提供→サイト内で情報提供
●実際の案内
→売り物はかならず実物を確認。良ければ契約の段取りをする(契約書の作成もサイト内で作成可能、司法書士等の確認)
●ローン
→サイト内にネットバンクの提携ローンがあればスピーディな審査が可能
●所有権移転等引渡し手続き
→登記はサイト提携の司法書士が行う、ローンもサイト内で売主に支払い
→引渡し時チェックは売主・買主お互いで。有料で代理人に依頼することも可能。
売り買いとも、手間を省けるシステムを作れば使い勝手がいい。中間搾取(?)がなくなるので、取引全体にかかるコストは低くなるはず。調査をする人・建物検査をする人・調査士・清掃業者・廃棄業者などが登録されて、有料で利用できる。
引渡し後のトラブルに備えた保険制度があれば、トラブルはお金で解決できる。トラブルの解決はシステム運営会社が売主から受ける報酬でまかなう。
不動産業はどうやって生き残るか
賃貸管理も大部分は代替が可能となりそうだ。大屋さん向け管理ソフトや定期清掃サービスなどがあれば、高い管理費を払わなくても済む可能性もある。
リノベ物件の販売はどうか。仕入れて直して再販するから、すぐにはシステム化できないかも。土地や新築戸建・マンション分譲は免許も必要だし、しばらくは大丈夫かもしれない。
注文住宅も変わる可能性はある。
自分の条件を入れれば、数点の間取・外観を提案してくれるソフトは作れそう。家族構成、ライフスタイルについての細かな質問、予算、建設予定地を入力すれば、最適なプランを提案してくれる。インテリアコーディネイトパックもあり。完成した図面に基づき、請負業者の見積り提案も受けられる。
希望プランと販売している売地とのマッチングをするシステムも開発可能か。法令制限と測量図があれば、「AとBとC」がおすすめですと、配置図の提案もしてくれる。予算と、希望の地区・条件を入力するだけ。ポータルサイトでぐるぐる探す必要もなくなる。
新築も随分楽になる。ハウスメーカーの展示場も絶滅危惧種になるかもしれない。今のパース(内外観の出来上がり予想図面)は、実際の姿とほぼ同じでびっくりする。
どうやって生き残るかというタイトルを付けたものの、不動産業として残る分野は限られると言わざるを得ない。
世の中はがらりと変わるだろう。
逆をいえば、大チャンス期。変化を楽しもう、です! 今のうちに備えておきましょう。
H30.12.21(冬至だそうです)