「安心R住宅」とは、国土交通省が、既存住宅の流通を促進するために創設された制度です。既存住宅という言葉も、「中古住宅」と比べ耳慣れないかもしれませんが、これからは既存住宅が主流になりそうです。国交省が、運用のガイドラインを作り、その基準を満たすものは「安心R住宅」の商標を使用を許可するというものです。
この商標は、は国交省が認可した団体の構成員である事業者しか使えません。この認可を受けた団体がガイドラインに添ってそれぞれ独自に安心R住宅の基準を作ります。
「東日本リフォーム協会(実在しません)」みたいな団体が国交省に審査をしてもらう→OKになれば事業者として登録→その団体の構成員は、基準をみたした既存住宅(中古住宅)を安心R住宅という呼び名で売っていいですよ
まあ、こんな感じです。
日本の建物は外国に比べて極端に寿命が短く流通量も極端に少ないというのは、以前から言われ続けてきたことです。国交省はここ数年、既存住宅(ストック住宅とも呼びます)の流通に力を入れています。新耐震基準で建築された住宅は一定の品質があり、適切な維持管理をすることで長く住めるのに、古くなったらすぐ壊して建替えるというのは環境面からもよろしくない。建築後20年経過すれば建物評価はゼロになるのも悪しき風習だ。これからは、既存住宅を正当に評価して流通量を増やそう、そんな意図があります。
「安心R住宅」はただの中古住宅とどこが違うのか
そこで国交省が検討したのは、家を購入しようとした人が既存住宅(中古住宅)に抱くマイナスイメージは何かということ。それが無くなったら、新築だけでなく中古住宅も選択肢にのぼるのではないか と考えたわけです。
国交省が分析した「中古住宅」のマイナスイメージはおおまかに以下の3点です。(そもそも中古住宅ということばそのもののイメージが悪いですが)
①耐震性や品質(雨漏りや白蟻被害がないか)が「不安」
②「汚い」(文字通りです)
③どんな性能かいつリフォームしたのかなどが「わからない」
これらを解消するため
①インスペクション(建物検査)をして建物性能(構造・雨漏りなど)を確認。必要であれば補修する
②リフォームをして現場写真を提供する(リフォーム前であれば、リフォーム箇所とかかる費用を明示する)
③建築時の書類、リフォーム履歴、住宅性能(断熱など)等がわかる書類を提供(ない場合は、あらかじめ無いことを明示)
以上をしてね。そしたら、「安心R住宅」って名乗っていいよ かいつまんで言えばこんなことです。
ちなみに「安心R住宅」の「R」とは 、「R」は、 Reuse(再利用) Reform (改正)Renovation(更新)を意味するそうです。既存住宅流通は、聞きなれないカタカナが出てくる分野ですね。
これが「安心R住宅」のロコマークです。 |
これからの既存住宅市場はどうなるか
「優良ストック住宅協議会」がプレハブ9社によってつくられました。2008年のことです。(現在は10社が加盟)
会員の会社が建築した高品質の住宅が中古住宅になると正当な評価がなされない。なら、独自の基準を作り「スムストック住宅」というブランドで販売しよう という趣旨のもとで作られました。これは「安心R住宅」の先駆けといえる動きです。
参考までに、こちらの記事 ミサワホームのスムストック をご覧ください。
スムストック住宅ブランドは設立から9年経った今も、周知にはほど遠いといえます。それだけ安かろう悪かろうの「中古住宅」のイメージを払しょくするのは簡単ではありません。安ければ多少の難点は我慢するという方もいらっしゃいます。
でも、一定の品質があって新築よりお得感があれば、中古住宅を買おうというお客様が増えてくると思います。国の政策ですから、税金の軽減措置なども検討されるかもしれません。
考えてみてください。新築を買っても(建てても)一度住んだらその瞬間から中古住宅です。建物の寿命が50年になるとしたら、築10年の中古住宅なら40年は住めます。築20年でも30年です。屋根外壁を塗ってクロス、床を貼り替えて、水回りをすべて交換したら、手あかはなくなります。
我が家も築後23年ですが、屋根外壁を再塗装したらぴかぴかです。これで内部もフルにリフォームしたら、まるで新築です。(樹脂のペアサッシが初期の製品なので重いのを除けば)
ステータスという意味では新築と既存住宅の差は大きいかもしれませんが、それは建てて数年のお話し。10年も過ぎたら、自分で建てても中古住宅として買っても差はなくなると思いませんか。
住宅メーカーのわが社としては、新築のお客様が減るのは困りますが、確実に時代は転換期を迎えているといえます。
国交省のHPもご覧ください→安心R住宅・国交省