認知症サポーター養成講座

不動産業務と認知症

私たちの業務も、認知症の方と係わりになる場合が増えてきました。
特に、ご家族の方からのご相談が主ですが、売主の方が認知症で施設に入るのでご自宅を売却したいという相談が散見されます。実際に成年後見人を選任し、売却のお手伝いをしたこともありました。これから、ますます増えてくる案件だと思われます。
不動産の売却と認知症については、不動産を所有している方もしくはご高齢の親御さんが不動産を所有している方へ 

業務で認知症の人やその家族の方と関わることも多いこともあり、地域包括支店センターの方を会社にお招きしお話を伺いました。(平成29年5月19日)認知症についてはテレビなどでも取り上げられる機会が多く、ある程度知っているつもりでしが、認識が甘かったと反省しました。
以下、講演の一部を記します。

認知症の定義は、「いろいろな原因で脳の細胞が死んだりして、脳の働きに不都合が生じ、さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が6か月以上継続している状態」。脳の細胞が壊れたことによって直接生じる障害は次のとおりです。
①記憶障害
年をとると忘れっぽくなりますが、加齢による物忘れとの決定的違いは、大雑把にいうと「全部忘れてしまう」こと。食べたものを忘れてしまうのではなく、食べたことを忘れてしまう。目の前の人の名前が思い出せないのではなく、誰なのかわからない。約束添たことを忘れるのではなく、約束したことを忘れてしまう。数分前の記憶が残らないなど。
②見当識障害
時間や季節の間隔が薄れる、方向感覚が薄れ知っている場所でも迷子になる、周囲の人との関係性がわからなくなるなど。
③理解・判断力の障害
考えるスピードが遅くなり、二つ以上のことが重なるとうまく処理ができない。
④実行機能障害
計画を立てて、段取りをすることができない。

詳細は、厚生労働省のHPを参照ください。ちょっとおかたいです。「認知症」で調べると、もっとわかりやすいページがあります。





オレンジリング




受講後、「認知症サポーター」の証として

オレンジリングをいただきました。

周囲の接し方が大切~尊厳を傷つけない

以前業務で出会った例ですが、高齢者お二人でお暮しでお宅がかなり散らかっていました。お宅を売って引越をしなければならなかったのですが、引越の日が近づいてもまったく荷造りがされず、散らかったままの状態でした。
引越当日手伝いに行って初めて奥様にお会いしましたが、認知症を患っているご様子。(ご主人からは何も聞かされていませんでした)同じようなものがいくつもあっても、すべて持って行くと仰いました。引越屋さんが待っているので、片っ端から段ボールに入れていくしかありませんでした。奥様は非常に怒りっぽく、こちらは無料奉仕なのにと、随分腹がたったのを覚えています。
しかし、今回認知症の勉強をして、無理のないことだったなと考えさせられました。いつもと違うできごとでで混乱した上に、10日位の間に必要な物を選択して箱に詰めていくという作業は、④実行機能障害から困難を極めたのでしょう。こちらは、10日もあったのに何していたんだという思いでしたが、無理解だったなと反省されられました。引越の時間が決まっていたので、大いにせかしてしまったのもNG行為でした。

認知症の本人にはちゃんと自覚があって、不安だったり悲しかったりしているそうです。不用意なことばは、本人を深く傷つけるということでした。周囲に向けられる怒りの表現も、不安や悲しみ、自分に対する怒りの裏返しだったりするそうです。徘徊などの行動障害も、その原因を考え対応策をすることが大事だとのことでした。
私個人も、亡くなった義父が認知症でした。当時認識不足で、なんかおかしいなと思いながらも、認知症と気づいたのはずいぶん症状が重くなってからでした。
認知症は、誰にとっても身近な問題です。もっと社会の認知を深めなければいけないと思いました。(小学生の作文のような締めになってしまいましたが)