高齢になると、誰にでも発症のリスクのある認知症。要介護の15%超が認知症(平成22年度)患者です。
なぜ突然、認知症の話かといえば、
認知症の程度が進むと、不動産の処分(売却)が出来なくなるからです。
親が施設に入ったので、親の自宅を売りたいという相談が、増加傾向にあります。
本人が売りたいという場合は問題ないのですが、
お子さんからの申し出の場合は、依頼を受ける側としては注意が必要です。
認知症が重くなり、「売りたい」という意思表示ができなければ
介護費用捻出のため売る必要があっても、なかなか売ることはできません。
認知症になった本人に代わって意思表示をするために、「後見人制度」があります。
そのほとんどが、裁判所が選任する法定後見人です。
法定後見人の行為は、裁判所の監督を受けます。
不動産の処分などは、事前に裁判所の許可が必要です。
ところが、自宅の売却は滅多に認められないようです。
症状が好転して退所しても、戻るところがないという理由からです。
つまり、重度の認知症になってからでは、自宅の売却は無理ということです。
さて、それでは、転ばぬ先の杖はないのでしょうか?
ひとつは、任意後見人をあらかじめ選任しておく方法。
本人にもしものことがあった場合、後見人が本人に代わってできる行為を定めておきます。
この場合、公正証書の作成が必要です。
本人が認知所になったりした場合、裁判所による後見監督人の選任を経て
公正証書に定められた、本人の生活・療養介護のための財産管理ができます。
もうひとつが、民事信託の制度です。
信託というと、信託銀行がする行為というイメージが強いと思いますが
自分の信頼する人に、財産の管理・処分を任せるという「委任行為」です。
その内容は多岐にわたりますが、自分の意志を反映させることができる方法です。
まだまだ一般的ではないのですが、これからこの制度を利用するケースが増える気がします。
詳細は、また別の記事で後日紹介させていただきます。