売買契約②売買契約は慎重に~簡単に解約することはできません!

契約は、厳格なものです。申込にとは違い、勝手に「やーめた」ということはできません。特別な事情がなければ、売買代金を減額してくれということもできません。だから、契約の内容はあらかじめしっかり確認しておきましょう。

解約が認められる7つの場合

解約が認められるのは以下の7つの場合で、かなり例外的です。簡単に契約を解約できると、売主買主お互いに困ったことになるからです。

①手付解除 買主が売主に手付金を交付した時、売主が契約の履行に着手するまでの間、買主は手付金を放棄して契約を解除できる
②危険負担 自然災害等で不動産がこわれて購入目的を達することができない場合、または修復に多大な費用がかかる場合
③瑕疵担保責任 物件に重大な瑕疵があり、買主がその物件を購入した目的を達することができない場合
④相手方の違約 契約の相手方が契約を履行してくれないとき、相当の期間をさだめて催促してもなお履行されないとき
⑤ローン特約 買主がローンを利用して購入しローン特約を付けた場合に、融資が受けられなかったとき
⑥その他の約定 契約の中で、特別な約束をしたときはそれに従う
⑦クーリングオフ (業者売主の場合のみ)宅建業者が事務所等の場所以外で申し込みを受けた場合、一定期間契約を取り消すことができる

もう少し、詳しく説明すると
①手付解除
手付金を払ったら、「手付金はいらない」と申し出れば、無条件に契約が解除できます。この申し出はいつでもできますが、相手が契約の履行に着手した後はできません。契約書に手付解除は○月○日までと決めれば、その日までです。手付解除は、売主からもできます。この場合手付金の倍額を返還しておこないます。
②危険負担による解除
売主・買主のどちらにも責任がない事情で物件がなくなったり壊れたりしたときに適用されます。自然災害(洪水で家が流されたなど)や隣家からの延焼で建物がほぼ全焼したような場合が考えられます。修繕が困難だったり高額な費用がかかる場合は、売主からも契約の解除ができます。いずれの場合も、手付金は返還されます。壊れた部分が小さくて修繕可能であれば、売主が直して引き渡します。
③瑕疵担保責任による解除
物件に重大な瑕疵(欠陥)があった場合(建物が大きく傾いている、基準を超える土壌汚染があった、心理的瑕疵→建物内で自殺があった など)には、契約解除が認められる場合があります。瑕疵が修復可能な場合は認められない場合が多いようです。
④相手方の違約
契約の相手方が契約を守らない場合、相手方に対し「1か月以内に契約を履行してください」などと催促をしても相手方が自分の義務を守ってくれない場合、契約を解除できます。売主が抵当権を抹消できなかった・引渡をしてくれないとか、買主が代金を支払ってくれない などが考えられます。契約を解除した場合、損害賠償の請求ができます。
⑤ローン特約による解除
買主が、金融機関からの融資で売買代金を支払う場合契約書に、融資が受けられなかったり減額された場合は契約は白紙になるという条項が入っていれば、融資を断られた時点で契約は解除になります。一般的には、銀行に審査をしてOKをもらってから契約をします。ただし、正式な融資審査は契約後になります。
⑥その他の約定
基本的に、どのような特約でも交わすことができます。解約の条項があれば、それに従います。
⑦クーリングオフ
売主が宅地建物取引業者である場合、不動産会社の事務所等(申込人の申し出によって支度や勤務先で行った場合を含む)以外で申込をした場合。クーリングオフが出来るのは、クーリングオフが適用になる旨を書面で告げられてから8日以内で、文書による申し出が必要です。

契約時には、手付金が必要です

不動産売買は、契約を交わしてお金を支払って物件を受け取るという一連の行為を、同時に行うケースはまれです。一旦契約を結んで手付金を支払い、後日残りのお金を支払った時に引渡しを受けます。所有権が買主に移るのも代金の全額を支払った時です。手付金は、契約を結んだという証となります。
契約時にはふつう現金(手付金)が必要です。一般的には契約金の10%程度の金額ですが、額に決まりはありません。手付金を支払うかどうかも自由です。売主買主が合意すれば、手付金なしで契約することも可能です。
売主・買主が直接会って契約する場合は、現金でお渡しするのが一般的です。売主が現金を数えているときはちょっとドキドキしたりもします。いずれはキャシュレスになるのかもしれませんが。