秋田市立地適正化計画~コンパクトシティ構想ってなに?

計画の概要

ご存知でしょうか。2018年3月30日 秋田市立地適正化計画が策定されました。コンパクトシティ化構想を現実化するための計画です。これは、都市再生特別措置法で平成26年に創設された立地適正化計画制度にもとづくものです。

「コンパクトシティ」とは、簡単に言ってしまうと、ほぼ無制限に住宅地を広げてきたんだけど、人口(特に労働人口)が減って税収が減ったら①公共サービスが十分にできなくなる②コミュニティの維持ができなくなる③インフラの維持管理もままならない。だから、なるべくまとまって住んでもうことで、①~③の問題を解決しようということです。

コンパクトといっても、秋田市中心部にギュッと集めてしまえということではありません。秋田市を旧秋田市の中央・東・西・南・北部と河辺・雄和の7ブロックに分け、それぞれ都市機能誘導地域と居住誘導地域を定めました。なるべくそこに人口を集中させようとしています。
不動産売買のとき、不動産業者は買主に対し、都市機能誘導区域内か外か、居住誘導地域内か外かを説明する必要があります。区域外での取引を禁じるわけではありません。あくまでも、区域外ですよと注意喚起を促す感覚でしょうか。大規模な開発行為(宅地造成等)や一定規模以上の建物の建築には、規制もあります。今のところは、届け出を要するであって、禁止とはされていません。
誘導地域については、都市機能・居住の各誘導区域の設定(秋田市HP)をご覧ください。(※注:PDFで14Pあります。閲覧するにはしっかりとした心構えが必要です)

他の自治体で成功例はあるのか

国でも、多数の地方都市でコンパクトシティの試みが行われているようですが、道半ばで、まだまだ成否の判断をつけられるところはないようです。ネットで検索すると、失敗例として青森市、今のところの成功例として富山市(成功でないという意見も見ましたが)が挙げられています。ネットの記事では、実情をどの程度検証しているかは定かではありません。参考程度に見ておくのがいい気がします。

とっても困難だと思われる点

日本国中が少子化問題を抱えるなか、秋田県はそのトップを走っているのは周知の事実です。コンパクトシティ化構想はとても大事なことだと思われます。ただ、計画を策定しても実行するにはたくさんのハードルがあります。

★住み慣れたところから離れるのは抵抗がある。特に交通弱者であるお年寄りにはハードルが高い。

★車に慣れてしまった市民が公共交通機関に回帰できるのか。買物など重い荷物を運搬する必要がある場合、徒歩では大変。
★区域外の土地の価値が下がるリスクをどうするか。郊外の物件を売却して中心部で物件を購入するのは難しい。

★近くに買物施設がないと不便。商店街の活性化といっても、具体的な策がない。後継者もいないし、あきらめムードが漂っている。
★魅力的なショッピングモールは郊外にある。車を使える世代はそっちに行く。
★農家はどうなる。農地は郊外で、中心部から通勤?は非現実的。


このように、コンパクトシティは、突っ込みどころ満載です。計画はコンサルがつくった(であろう)美しいもので、一見すると説得力があるように見えます。でも、全国のあちこちで、ほぼ似たような案が作られている気もします。
10年位では成否の判断はつかないのでしょう。人口減少の方が、どんどん先行しそうです。そうなると、行政サービスの低下を甘んじて受けなければなりません。さらに人口も流出するでしょう。2006年に財再破綻団体になった夕張市の例が頭をよぎります。

一番大切なのは、一人一人が危機感を持つことだと思います。そのためには、10年後の税収では、こんなにサービスが低下するというシミュレーションを市民に突き付けて、どうしたらいいかみんなで考える、それしかないかもしれません。人口減・老齢化率は全国のフロンティアなのだから、解決策も先頭をいく覚悟がないと、滅び行くのを待つだけ かもしれません。

平成30年6月7日