空き家の再生は必要なのか

空き家をリニューアルして事業化するのがトレンドになっている?

先日「空き家が収益物件に!? 新時代の活用術」と題し、NHKクローズアップ現代プラスで空き家リフォーム成功例を特集していた。使い道のなかった空き家を見事に再生させ、事業用不動産として収益を上げるようになったよ、と内容。
築90年の空き家を借上げ、3000万円かけてシェア・オフィスに改築。毎月45万円の売上をあげる物件になったという例があった。所有者は固定資産税の支払いや維持管理から解放され、万歳万歳というもの。年間540万円の売上で、固定資産税・管理費等が3割とすれば、利益は378万円。利回りとしては、悪くない。
先日秋田市の飲み屋街「川反」でまさに古民家再生の店に行った。目につきにくい横丁に面した、玄関は昔懐かしいがたが音を立てそうな木の格子戸。中に入るとこじゃれた内装で、結構女性に人気だということ。飲食店のリニューアルは今のトレンドのよう。

人口減の中、住宅の再生はどうか

では、住宅はどうか。人口がどんどん減っている。戸建住宅の多い地方ほど人口は減る。秋田県は、これから23年で、人口は3割減り100万人が70万人になるといわれる。そうなったときに、新耐震基準前の建物に耐震工事を施して流通させる意義はあるのだろうか。新耐震基準になってから35年。バブルや新築ブームもあり、この間の住宅供給数は多い。秋田でも平成に入る前後から、土地があれば建物が建ったという時代があった。正確な数字は見つけられなかったが、ピークは平成8年で12,000超。この前後は10,000戸越え。昨年は3,880戸。ならして(乱暴ですが)1年6,000戸とすると、新耐震基準で建てられた建物は21万戸。新築の着工戸数は減るだろうが、年3,000戸だとしても2040年まで約7万戸で、新耐震基準建物は28万戸ある。さて、人口は70万人、1世帯2.5人とすると28万世帯で、新耐震基準で建てられた建物の数と同じくらいになる。(あくまで概算だが)

事情はさまざまあるので、一概に古い建物を利用するのが悪いというつもりはないが、需要と供給を考えると、古い家をリニューアルして使い続けることで、もう少し新しい家が空き家になるという現象も起きるのではないか。ブームにしてしまうのはどうだろうと考えてしまった。どこに力を入れるか、バランスをとるよう考える必要がある。空き家を取り壊した後の空き地の利用という問題も発生するだろう。相続した空き家を売却するために取り壊したときは3000万円控除される税金の優遇もある。
まずは、流通できる不動産は流通させて利用するということか。取り壊しても、そのままリフォームして住むにしても。