子育て期・20年~30年
子育てと不動産の取得について考えます。今、結婚子育ての年齢は多様化しているので真ん中あたりと思われる年齢でシミュレーションをしてみます。
20代で結婚。20代後半から30代後半までに子供が生まれる。2人の子供として育てあげるのが60才くらいまで。
子育ての期間は、住宅の取得を考える期間でもあります。
35才で35年ローンを組んで返済の終了が70才。60才で定年となり再就職して年金がもらえるまでは働く。
2500万円の住宅ローン(金利1.5%・返済35年)を組んだら、60才の時の残高は約850万円、これを退職金で全額繰り上げ返済します。
子どもは65才で結婚し独立。奥さんとの二人暮らしに。
85才まで二人とも元気に暮らすと、ここまでが20年です。
家族構成の変化は何回おきるか
夫婦に二人の子供ができ、大学を出て二人とも独立すると家族の人数は
結婚(2人)→第一子出産(3人)→第二子出産(4人)→第一子独立(3人)→第二子独立(2人)→夫婦の一方が死亡(1人)
夫婦と子ども二人の世帯で子供が二人とも同居しない場合では、6回も家族の人数が変わります。結婚してから子供が全部独立するまで30年~35年でしょうか。ここで、夫婦だけとなり、子どもは盆正月に帰るだけ。使わない部屋が、物置と化すお宅も多いでしょう。
子どもが結婚して同居すると、もう少し複雑に変わりますね。
二世帯だと、もっと極端です。子どもの独立と親の見送りが次々に訪れます。60代のうちに、ほとんどが夫婦だけの世帯になります。もちろん、家はがらがらになって、そうじをするのも大変です。
なかなか住み替えられない事情
「家督」という観念が強かった時代、長子が家を離れることはできませんでした。それが今では、長男でさえ遠くで就職し結婚して戻ってこないのも珍しくありません。でも、家を建てたらそこが終の住みかとなる人も多い気がします。ライフスタイルが確実に変わっても、やどかりのように家を取り換えるというのは、この国には馴染まないのでしょうか。
今まで築いたコミュニティの外にでるのは抵抗があることと同時に、少人数で暮らせる住宅の供給が少ないのも原因かもしれません。子どもがいなくなり夫婦ふたりで暮らすなら、コンパクトな平屋が済みやすいと思いますが、中古住宅を捜すのは困難です。かといって、定年後にまた新築するのはなかなかできません。
日本の新築住宅の多くは、子育てを前提に作られます。建売住宅を見ると、判で押したように3LDKや4LDKです。新築の購入層のほとんどが子育て世代なのでしかたないことなのですが。
年配の方々は不便を忍んで大きな住まいで暮らし続け、住宅を手放す頃には築後40~50年も経ってしまい取り壊すしかなくなるケースも多いかと思います。売っても賃貸でずっと家賃を支払うリスクをとるのも賭けではあります。国が音頭をとっても、中古住宅の市場が思ったほど活性化しないのは、このように、高齢者がライフスタイルに合わない家に住み続けなければならない、それが根底にあるように思えてきました。
この文章を書き出したときは、ライフスタイルに合わせて住み替えましょうね、と言いたかったのですが、よくよく考えるとそう簡単な話ではなさそうです。少子化、老老介護、独居老人、孤独死などの社会的課題も増えています。家族がずっと一緒に住めたら、地方にも仕事があったら、少しは解決が見えてくるかもしれませんが。
「やどかり」はお気楽そうでいいな というのはやどかりに失礼ですが、家に縛られない暮らし方にもあこがれます。とはいっても、常に住む家の心配をするのもストレスではありますね。 |