遺された人たちへのおもいやり~「終活」のすすめ

シュウカツ・コンカツ・ホカツなどなど、「~カツ」が氾濫しています。その中で、「シュウカツ」というと、まっさきに「就活」が思い浮かぶでしょう。大学3・4年生が企業に雇用いただくための売り込み活動ですね。
ところが最近、「終活」という漢字を目するようになりました。人生の終わりを迎えるにあたっての準備をするという意味で使われます。終活には、①自分の振り返りと②遺される人への気遣い という2つの面があるようです。

「終活」と「エンディングノート」~なぜ「終活」が必要なのか

かつては、長子相続(長男がすべての財産を相続する)が決まり事でした。相続財産の分割でもめることはありません。故人は家族と一緒に暮らすので、人間関係などもほぼ分っていたと思われます。先祖代々の墓に入り、家督を継いだ者がお墓も守るというシンプルなしくみでした。
ところが今となっては、子どもは親から独立して都会に就職し、年に1度か2度盆や正月に孫の顔を見せに帰ってくるだけ。滅多に合わない親戚の顔もわからず、ましてや友人関係などよくわからない場合も多いでしょう。自分も、実家に田畑がいくらあるのかよくわかりません。預貯金がいくらあるかもです。親戚関係も少しあいまいです。
自分の記録を残して、遺された人の負担を軽減することが死んでゆく者のたしなみとなりつつあるのだと思います。終活の便利ツールとして、「エンディングノート」が注目されています。遺された家族が争わないように「遺言書」を残すのとは別の意味で、大切なことだと思います。

エンディングノートとは①自分の振り返り をする

エンディングノートは、今の自分を記録することから始まります。緊急連絡先、病歴とかかりつけ医、家族のこと、家系図などです。
それから、自分をふりかえります。今まで名前の由来や学歴、職歴、思い出、生活してきた場所などこれまで自分が歩いてきた道をたどります。親戚や友人リストや何かあった時連絡してほしい人についても記載します。
遺された人にとって、故人をしのぶと同時に心強い道しるべとなるでしょう。

②資産状況を明確にする~リスト化

相続が始まると、まず財産を特定しなくてはいけません。あらかじめリスト(目録)があれば大変助かります。
現金・預金・不動産・株式・証券等といったプラスの財産と同時に、マイナスの財産であるローン、キャッシング・借金の保証などがあればそれも書き出します。
相続人には、相続する義務はありません。負の財産の方が多ければ相続放棄も選択できるので、その判断のためにも自分の財産はきちんと把握して記録に残しましょう。

③その他家族に伝えておくべきこと

生きている間も亡くなってからも、その人の思いを尊重したいというのは家族の誰もが思うことです。不幸にして意思表示が十分できなくなったとき、予め自分の考えがはっきりしていれば、家族の悩みは軽減されます。介護のこと(在宅介護の希望の有無)・命に係わる病の場合の告知や延命治療・献体の希望や臓器提供など、特別な希望があれば家族もその気持ちに添いたいはずです。
亡くなってからは、葬儀のこと(密葬にしたい、火葬のみにしてほしい、にぎやかに送ってほしいなど)、お墓のこと(自然葬など特別な希望)などです。形見分けについても故人の遺志がわかればうれしいと思います。

エンディングノートに決まった形式はありません。市販のものもありますし、Webからもダインロードできます。
まず、エンディングノートについて調べてみませんか。シニア世代の親御さんがいらっしゃたらぜひご紹介してください。もちろん、普段のコミュニケーションが一番大事だと思います。