根深い「空き家」問題

2015.1.12 久々に新成人の数が前年より増えたそうですが

NHK特集で「ニッポン”空き家列島”の衝撃」という番組を放映していた。
時々ある、視聴者代表参加型討論会という形態の番組だ。

当然だが、世帯数に対して住宅数が上回っているので、空き家が発生する。
転勤等で、自宅を空き家にしながら賃貸に住んでいたり、セカンドハウスを所有している人もいるので
世帯数=使用している住宅 とはならないだろうが。
すでに、7軒に1軒は空き家で、今後世帯数は減り続ける。
一方で、新築住宅も建築される。
乱暴かもしれないが、現状の空き家数を増やさないためには
【解体する住宅】>【新築棟数】+【減少世帯数】

解体して、新築住宅の敷地になる「古屋」も多い。
*不動産用語では、敷地上に存在する利用価値のない建物を「古屋」という。
条件のいい場所であれば再生可能だけれども
なかなか売れないだろうな、という物件も少なからずある。
実際、「売地」看板がいくつも立っている団地もある。

主な要因は、「人口減」と生活様式の多様化か。
戸建住宅を所有することがステータスだった時代は終わり
郊外の一戸建てより、都心に近いマンションに住む。
所有にこだわらず、賃貸も選択肢としてウェイトが大きくなっているのかもしれない。

「人口減」は、非常に深刻だ。
ある試算では、2050年までに秋田市の人口は2010年の74%になるという。
県都でこれなので、秋田県の市町村は大潟村を除いてすべて消滅するかもしれないともいわれている。

上のNHK特集では、水道管が破裂しても入れ替える予算がなく、部分補修でしのいでいる
そんな笑えない話もあった。
日本は高度成長で、インフラの整備が一気に進んだので
老朽化も一気に進んでいる。
全部を一気に治す予算は、地方にもおそらく国にもないはず。
そこで、「コンパクトシティ」
人を集約して、インフラ整備にかかる費用を減らそうという構想。
これも、行政が線引きをするしかないと思うが
線引きの外に住む人、土地を所有する人には大反対されるだろう。
でも、超高齢化で福祉にお金はかかる、人口はどんどん減って税収は減る。
今のままでは、財政破たんする自治体がごろごろ出ても不思議ではない。

都市計画にかかわることは、計画から実現まで何十年スパン。
あと35年で人口が半分近くになる自治体も少なくない中
対策をあと送りするのは賢明ではない、差し迫った問題なのだとあらためて思った。

震災後に、被災者の考え方がばらばらで、なかなか話がなとまらなかったことを思い出す。
でも、共倒れになる前に、どうにもならずに住民が流出する前に
血を流してでも解決しなければならない、避けては通れない日本の課題だ。
今、ブームともいえる「空き家」問題は、日本の問題が凝縮されたものかもしれない。

「空き家管理」を行う立場としても、都度向き合って考えていかなければいけないのだろう。