離婚と住宅ローン

夫婦が離婚するとき、住宅ローンが残っていたら・・・

ご主人の名義の住宅で、奥さんが家を出る場合は問題はないのですが
①家はご主人の名義で、奥さんが家に住み続けご主人が支払いを続ける
②名義が共有で、奥様が連帯債務者となっている
こういう場合は、あとあと問題になる可能性があります。

まず①の場合、ご主人の経済状態が悪化し支払いができなくなった場合
最悪、競売になることもありえます。
奥様の名義にしてもご主人の支払いが滞れば、結果は同じです。
もっとも、この場合は住む家がなくなるだけで、債務（ローンを払う義務）は奥様にはありません。

②の場合は、かなり面倒です。
多いのは、ご主人が自分で支払いをして家に住み続ける場合ですが
奥様の債務が消えるわけではありません。
連帯して責任を負うというのが連帯債務ですから、
ご主人が支払えなくなれば、奥様にも請求がきます。
離婚の際に、銀行に相談して連帯債務を免れようとしても
銀行がYESというケースは稀のようです。
銀行にすれば、回収不能になるリスクが増すのですから、当然です。
ローンを組む際に、ご主人の年収のみでは希望額の融資ができないため
奥様の収入を合算して（ふたりの年収を足して）ローンを借りるというケースも多いです。
当社で関わった取引で、ご主人の単独名義にできたケースがありました。
これは、ご主人・奥様とも単独でローンを組める年収がありましたが
収入実態に合わせるために共有名義にして連帯債務としていたケースでした。
銀行は、ご主人の年収だけでも返済が十分可能だと判断しました。
また、同じ奥様が単独で住宅ローンを借りるというケースだったのも、プラスの要因だったと思います。
ご主人の年収が十分でない場合には、別の連帯保証人を立てることが条件になるようです。
奥様にすれば、長い住宅ローンの支払い期間、いつ元ご主人が支払いを滞るかわからない不安定な状態におかれることになります。

すっきりするのは、家を売ってしまうこと。
その上で、お互いの生計を考えればいいのですから。
でも、それが難しい場合があります。
ローンの残債（残ってる借金の額）が、売れる見込みの金額を上回っている場合です。
現金を捻出して、売れた金額に上乗せできないと、ローンは消えないので売ることができません。

このごろよく見かけるのが「任意売却」という方法です。
ローンを一括で返済できなくても、銀行と合意した価格で販売するという方法です。
（実際には、この場合ローンを保証している会社が相手方になりますが、複雑なので銀行と呼びます）
競売と違って、一般の不動産売却と同じように一般の人に売ります。
「任意売却」と銘打って売るわけではないので、近所の人に知られることもありません。
売って残ったローンの部分は、銀行との協議で毎月の支払い額を決めます。
ただ「任意売却」の場合、ただ「離婚する」というだけで銀行がOKしてくれるわけではありません。
支払いが数ヶ月滞り、支払い不能となった場合銀行と協議することになります。
ぼやぼやしていると競売になってしまいますから、あるタイミングで銀行と協議することが必要です。
抵当権が２件以上あって、第一順位の債権者（お金を貸した人）の分の借入れもまかなえないと
次の債権者には、支払いができないことになります。
この場合、「ハンコ代」と呼ばれる一定額を支払い、抵当を消してもらうことになります。
Ｗｅｂで「任意売却」とひくと、いろいろな業者さんが「任意売却しましょう」と宣伝しています。

無理に無理を重ねて、例えばローンを払うためにサラ金（今もこういうのでしょうか？）からお金を借りなければ
月々の支払いがままならないとか、
食うものも食わずに、などという状態なら、任意売却は良い選択肢だと考えます。
「任意売却」は、借金を踏み倒すのではなく、売ったお金で借金の一部を支払い、残りは払い続けるという
誠意のある解決方法だからです。
すべてのケースが「任意売却」できるわけではありませんが、
無理に無理を続ける前に、検討してみる価値はあるかと思います。

離婚の場合でも、「任意売却」してしまうというのも選択肢のひとつです。
ただ、手続きはかなり複雑です。
ここで書ききることは無理です。
関心のある方は、いろいろ調べてみてください。

不動産に関わる問題には、いろいろな解決方法があります。
悩んだら、専門家に相談しましょう。
法律のことはまず弁護士さんに、という考えもありますが
不動産がいくらで売れるかについては、弁護士さんは素人さんです。
不動産の処分がからむ問題は、まず「不動産屋さん」に相談してみてください。
複雑な法律問題については、専門家に相談もします。

久しぶりに、「不動産屋さん」っぽい内容でした。

秋田市内もだいぶ桜が開いてきました。
会社の南側の窓から、街区公園のきれいな桜が見下ろせます。
ここは、すでに満開です。
（毎年かなり開花が早めです）
ＧＷ後半でも、十分にお花見が楽しめそうです。
ちなみに、お休みは５月１日から５日までです。
前半はお休みなし、だったので。。。