都市景観について-秋田大学日野准教授のお話を聴いて

2012.6.9 勉強になりました

6月7日に弊社主催で、秋田大学大学院の日野智准教授をお招きし
「ヨーロッパと比較した日本の景観まちづくり」と題したセミナーを開催しました。
聴衆は不動産業者さんで、地区計画と景観法についてのお話から
フランスを中心とした、ヨーロッパの街づくりの実例を見せていただきながらのお話でした。

ヨーロッパというと、石造りの街路と古いレンガの建物群というイメージだったのですが、
建物の建替えも当然あるのだそう。
ただ、建替えるときは、壁や屋根の色や材質が細かく規制され、
周りの景観に溶け込むようなデザインでないと許可されないそう。
だから、新しい建物でも違和感なく、古い町並みに調和している。
日本では、京都などの一部の都市では、徹底した規制がされているが
だいたいは、ばらばらで、周囲に溶け込むより個性を主張する建物も多い。
美しい街並みを作るため、細かい規制をするという「あたま」がないのかもしれない。
そういえば、楳図かずおの家が、物議をかもしたこともあった。

ヨーロッパは、街とは作るものだという意識が強いのかなと思う。
日本は、古くは自然と調和するということが主眼で、
人工的なものでもそう感じさせないという精神だったから
都市計画というのは頭に浮かばなかったのかもしれない。
木の家で、家事があればすぐ燃えるし、すぐ取り壊せる
そんなところにも原因があるかもしれない。

建物を規制するということは、個人の財産権に縛りをかけるということなので
今までの日本の行政は非常に消極的だった。

このごろになって、秋田市も景観法による規制が厳しくなってきた。
以前は、電柱という電柱に「見学会開催」とか「新台入替」のような立て看板が立っていたが
今は、見つかるとすぐ注意を受けるので、立て看板はほとんど見なくなった。
一定以上の大きさの看板も原則設置できなくなった。

どうしても商売柄、「見学会会場」の誘導案内をする必要に迫られるのだが
今は、電柱に巻くタイプのものを、前日に設置して、終わるとすぐ撤去するというやり方にしている。
大変だけれど、確かに景観を考えると仕方のないことだ。
長い時間はかかるけど、美しい街並みは観光資源にもなる。
秋田でも取り組んでみる価値はある。

参考まで、街並みが世界遺産に登録されているリヨンについては、こちらをご覧ください。
また、googleの画像検索結果は、こちらから。

行ってみたいなと思います。